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2011年5月24日 (火)

再び人口増加社会へ

以上のように、工業後波を支える3つの要素は、これまでの粗放科学技術、粗放市場経済、無制約国際化から、集約科学技術、集約市場経済、選択的国際化へと転換されていきます。

 こうした転換によって、おそらく次の工業文明は従来の粗暴な次元を乗り越え、より成熟し洗練された科学技術、経済制度、国際関係へ進んでいくものと思われます。

これこそ「粗放工業文明から集約工業文明へ」、あるいは「工業前波から工業後波へ」の移行を意味しています。これまでの工業前波は工業文明の前半にすぎず、工業後波の開始に伴って、より成熟し、より完成された段階に入っていくということです。

こうした集約工業文明を、日本人の手で21世紀の中ごろまでに生みだすことができれば、21世紀後半の人口容量は再び拡大し、それにともなって日本の総人口も再び増加しはじめ、1億2800万人の壁を易々と乗り超えていくでしょう。

勿論、そのインパクトは日本に留まるものではありません。日本人が新たな文明の可能性を見つけだすことができれば、それは同時に、世界の総人口が80~90億人の壁を突破し、再び上昇をはじめることを意味しているからです。

こうした意味でも、工業前波の最先端を突っ走っている日本は、21世紀の最先進国として、まっさきに次の波動を作りだす役割を担っているのです。

以上で「平成享保のゆくえ」を、とりあえず終わります。ご愛読、ありがとうございました。別の形で、新コラムをはじめたいと思います。しばらくお待ち下さい。

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7章 集約工業文明へ向かって」カテゴリの記事

コメント

sk1068様

ご精読、ありがとうございます。
「平成享保のゆくえ」は、私の提起した「人口波動」論の応用ですので、歴史的事象の背景には、あくまでも人口現象が深く関わっていることを示そうとしております。

そのうえで、「工業現波」については、貴説と同じように、前半と後半に分かれていると思います(詳しくは拙著『人口波動で未来を読む』1996年、日本経済新聞社)。

●工業現波前半
始 動 期(1831~1960)・・・天保改革から幕末動乱へ
離 陸 期(1861~1880)・・・王政復古から文明開化へ
上昇前期①(1881~1910)・・・脱亜入欧から日清・日露戦争へ
上昇前期②(1911~1945)・・・大正デモクラシー・昭和恐慌から太平洋戦争へ

●工業現波後半
上昇後期①(1946~1970)・・・植民地政策から加工貿易へ
上昇後期②(1971~1990)・・・ハイテク導入から日本型資本主義絶頂へ
飽 和 期(1991~2005)・・・人口容量飽和化から平成享保へ
下 降 期(2006~2050?)・・・人口減少で平成明天へ

前半は近代的農業導入による国内自給の人口容量7200万人が飽和化したため。
後半は加工貿易応用による国内+輸入の人口容量12800万人が飽和化したため。

このため、上昇前期①は擬似的飽和期、上昇前期②は擬似的下降期となり、それぞれの時代の様相は類似する。

前半と後半の関係は以上のように考えております。ご参考までに。

投稿: 平享亭主人 | 2011年11月23日 (水) 17時54分

 江戸時代と明治以降の事件の類似性、わかりやすいですね。現在が成熟・飽和期に入っていることも納得できます。
 しかしながら、私は「工業現波」について別の考え方をするようになりました。
 ブログ内では明治維新以降を「工業現波」としていますが、実は太平洋戦争を境に2つの文明に分けることが出来るのではないかと・・・人口波動は別として、事件の類似性が見られます。(ここでは戦前を「工業1波」、戦後を「工業2波」とする。)

     工業1波      工業2波
 特徴  国内自給・帝国主導 加工貿易・国民主導
 始動期 幕末動乱期     戦時下の反戦運動
 離陸期 明治維新      戦後の改革
 上昇期 日清・日露戦争   安保闘争
 高揚期 大正バブル     昭和元禄〜バブル期
 飽和期 昭和恐慌      平成不況
 下降期 戦時体制突入    平成文化の爛熟?

 学者の中にはもしろ、昭和恐慌と平成不況の類似性を上げる考えもあります。
 私としては、「昭和恐慌の頃に工業1波が飽和したが、濃縮社会に移行しなかったために太平洋戦争に突入せざるを得なかった。」と考えるのですが、いかがでしょうか?

投稿: sk1068 | 2011年11月23日 (水) 13時56分

さとう様

公開講演が企画された時は、ご連絡します。
その節は、よろしくお願いします。

投稿: 平享亭主人 | 2011年6月14日 (火) 07時46分

ありがとうございます。

先生の講演等あれば、お声がけをお願いします。
時間があえば、ぜひ参加してみたいです。

投稿: さとう | 2011年6月14日 (火) 06時23分

さとう様

オーダーメイドの金属加工をネット展開の件、
まさに「差延化」だと思います。
大変、興味深い事例ですので、
勉強させていただいたうえで、
ケーススタディとして、コラムや講演などでご紹介させていただきます。
ありがとうございました。

投稿: 平享亭主人 | 2011年6月12日 (日) 15時45分

さとう様

ご愛読、ありがとうございました。
毎日、読んでいただいていると思うと、大変励みになりました。
すぐに、別のブログを始めようと思っていたのですが、
さまざまな仕事が急に増加し、しばらくお休みをいただきます。

人口容量の満杯化が、社会変動の最大の要因だ、という趣旨を書いてきたのですが、
今回の大震災で【人口容量=自然条件×文明】の、
自然条件と現代文明の両方が満杯化したことがはっきりした、と思います。
その意味で、大きな展望は間違っていない、と自負しております。

もう一つ、最近のマスメディアでは、強力なリーダーの出現を期待していますが、
人口減少期のリーダーは、信長や竜馬のようなタイプは無理であり、
田沼のような穏健かつ大胆なタイプが望ましい、という、
最初の予想もおそらく当たるのでは、と思っております。

いずれにしろ、今後の日本を考えていくうえで、なんらかのご参考になったとすれば、
大変嬉しく思います。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: 平享亭主人 | 2011年6月12日 (日) 15時36分

度々恐縮です。

私は実家が金属加工業を営んでおり、
オーダーメイドの金属加工をネットで行ったところ
結構好評になっております。
http://lfrdky.com/

これも差延化の流れにあたりますでしょか?

投稿: さとう | 2011年6月12日 (日) 13時33分

コメント記載が遅れました。

重厚なブログで感動しました。
新田沼時代は後10年くらいかかるんですね。

私は、単純に成熟社会は20年から25年(ちょうど世代が切り替わる)
くらいで、小さなデフレ・インフレの波を交互に繰り返すのだと思っておりました。
そういう意味では、バブルがはじけて20年くらいのそろそろ
重商主義の田沼のような人間が出てきて、インフレ
が始まるのかなあと思っておりました。
くしくも、大地震が起きて、供給不足に陥り、それを機に
供給力回復のためのインフレが起きるのかと思いましたが、
そう単純ではないのですね。

最近騒がしい政治ですが、
先生のご指摘のように、2大政党制は日本では定着せず、
早々に崩れ、小さな政党が乱立するような感じになりそうですね。
見事な読みだと思われます。

また、あらたなコラムを再開される際は、是非読ませていただきたいと
思います。

投稿: さとう | 2011年6月12日 (日) 13時25分

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