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2011年5月16日 (月)

加工貿易体制を見直す

以上のように見てくると、2020年代の日本において、新田沼政権が取り組んだのは、加工貿易体制の限界化という、人口容量の制約を改めて見直して、いかに最適な社会を創り出すか、という課題であった、ともいえるでしょう。

 この体制は、科学技術、市場経済制度、グローバル化の3つの要素によって支えられていますが、その1つひとつを最適化する方法を、より広い視点から再検討したのだ、といってもいいでしょう。

科学技術については、モノとしての進化を超えて、コト=情報としての進展を重視し、市場経済制度については、それが切り捨ててきた象徴制度を改めて復活させ、両者の並立によって、社会や経済を安定化させようとしました。

 そして、グローバル化についても、素朴なグローバル化信仰を脱して、利害得失を徹底的に考慮した、選択的グローバル化へと、外交の舵を切り替えています。

その結果、新田沼政権は、加工貿易国家を成熟させることによって、経済と生活、生産と消費、文明と文化、トップとボトムのバランスの取れた、近代工業文明国家の完成をめざしました。

 一言でいえば、それは「ラストモダン」社会の構築でした。近代の後にくる「ポストモダン」へ向かうのではなく、近代を完成させる「ファイナルモダン」へと進んでいったのです。

もっとも、その全てが達成されたのではなく、目的半ばで頓挫したものも少なくありません。2020年代後半になると、天明期(1781~88)以来の太陽活動の低調化による寒冷化火山の爆発大地震など、さまざまな自然災害が多発するようなり、それぞれへの対応に追われて、政策推進力が滞り、リーダーシップも衰えていったからです。

しかし、新田沼政権が火をつけたラストモダンは、もはや後戻りすることはなく、文化を成熟させ、情報化を深化させていきます。そうなると、工業現波を支えてきた、従来の世界観が次第に革新され、やがて次の波動を生みだす、新たな世界観が生まれてきます。

 そして、その世界観が資源やエネルギーの新しいつかみ方や使い方を見つけだした時、21世紀後半の日本は、さらに世界は、新たな人口波動に向かって再び動きだすとになります。

その世界観とはどのようなものなのか、その波動とはいかなるものになるのか、これについては、次の6章でざっと展望してみましょう。

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