政治も経済も停滞する
これまで述べてきたように、「平成延宝」の社会は、人口減少という新たな現実に戸惑って、閉塞感、不機嫌性、攻撃性などを募らせていきます。そのうえ、政治や経済もまた、こうした現実にたじろいで適切な対応を見つけるには至りません。しばらくの間は無為無策の混迷状態が続いていくものと思われます。
政治でいえば、自由民主党から民主党へと政権が移行したにもかかわらず、政治構造そのものは一向に変わらず、大御所政治や側用人執政のように、権力の二重三重構造がはびこって、リーダーシップの形骸化が目立つようになります。既存政党から分離した小政党が乱立するようになりますが、いずれの政党も過去の政治姿勢や権力発想から脱却しきれず、無用な権力抗争を続けることになります。
また政治家や官僚の発想力も、人口増加時代の価値観をなお引きずって、いたずらに成長拡大路線への復帰を狙うあまり、無効であるばかりか無用な政策にとらわれていますから、拡大する政治課題への解決には、ほとんど弥縫策に終わることになります。
経済分野においても、企業人やエコノミストの多くがやはり人口増加、成長・拡大路線から脱却できず、急拡大する近隣新興国への輸出ばかりに気をとられて、内需構造の変化への対応に立ち遅れることになるでしょう。
あるいは、過去のモノづくり発想にとらわれて、人口減少・飽和・濃縮社会に見合った暮らしを創造しようとする、真の生活者のコトづくり需要を見逃すことになります。
こうして平成20年代、つまり2008年から2017年ころまでの日本は、いっそう強まる閉塞感の下で、新たな方向を模索しつつ、なおも鬱積した気分を続けることになるでしょう。(3章・終・・・ご意見はコメント欄へ)
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